11月23〜25日 鳥取県〜兵庫県北部(197〜199日目)

11月23日(197日目)

朝、ホテルのベットで目が冷め、
スプリングとブランドン達に別れを告げて
近くのある場所まで向かった。

IMG_4012なんの変哲も無い橋の下。

昨晩、鳥取駅前で出会った、
ママチャリ日本一周中のようすけが
寝泊まりしているところだった。

昨日、友達と食事を終えてから
野宿をするならココと二人で決めておいた場所だ。

彼は昨晩、分かれてからも駅前で夢集めを続けていたらしい。
Mr.ドーナツ10個ほど貰って
食べきれないからとドーナツを分けてくれた。

自分もお返しにアウトドアクッキングで
キムチのタレで野菜炒めを作って一緒に食べる。
自転車旅についてのチャリダーによくある
あるある話しで盛り上がり笑い合っていた。
爽やかな一日の始まり。

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食事を済ませてから。
ようすけは夕方までゆっくりその場で待機してから
また、夢集めに駅前に向かうらしい。

またどこかで会えると良いな!
お互いにそう思ってはまた、
会いたいと思える人が増えてゆく。

そうして、また一人で前へ。

旅を続ける事にした。

鳥取駅から30分ほど走ると
有名な観光地でもある鳥取砂丘を通りがかった。
自転車を停め、日曜日で観光客で込み合う鳥取砂丘へ
裸足になって歩いて向かった。

IMG_4020DSC_0087ここへはおそらく、昔に家族で来た覚えがある。

その時砂丘の壁に日本と大きく砂字を踏みならして書いた覚えがあるが
今となっては誰も通っていなかった砂丘の壁は足跡だらけだった。
昔はもっと急な崖で気軽に歩ける様な所ではなかった。
長年、風に吹かれて観光客も増え、踏みならされた土地も
形を変えてしまっていた。
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しばらく歩いて、人気のない場所へ。
丘の上で座り、海辺の方を向いて景色を眺めた。
日本海側からは、岸に向けて強く風が吹きつけている。
その丘の表面だけの砂が飛ばされ、かすかに地面が霞んで見える。
自分が残した足跡は風紋だけを残して、消えていった。

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鳥取砂丘と言えばラクダ。

この砂丘の出身でもない
有名なラクダに乗る人たちを見学。
主に子供や親子が多かったが、ヨボヨボのお婆さんが乗っているのには驚いた。
しっかりと腕を伸ばしきった手で手すりを持ち、
ラクダが歩く度に首がガクガクなっている。

微笑ましい様な、心配な様な複雑な気持ちで見守っていた。
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鳥取砂丘を後にして。

再び、兵庫県の北側を目指す。

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険しい山々を越えて一歩一歩、前へ。

海沿いの町のスーパーなどを覗くと、
新鮮な魚が激安で売られている。
IMG_4026夕方頃に兵庫県の県境を跨いだ。

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山を越えると久々の生まれ故郷、兵庫県の文字が見えた。
生まれ故郷だと言っても、この場所は全く知らない場所。
まだまだ実家へは200km以上もある。

日も暮れた頃に山を下りた新温泉町の浜辺に
寝床を見つけ、その日はそこまでとして
トイレ付きの駐車場の裏手にある芝生の上にテントを張った。


11月24日(198日目)

昨晩、外で調理していると
駐車場で車中泊をする為にやってきた夫婦に
「一晩中エンジンがついてて、
うるさいかもしれませんが、いいですか?」
そう言って話しかけられた。

もちろん。大丈夫ですよ。
車通りが多い場所でも寝る事はあるので馴れてます。
そう言って快く迎えたら、
お礼にと冷たいビールを2本頂いたなんて事もあった。

(写真の右手 キャンピングカー)

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道路を渡って浜辺に出ると
綺麗な青空が顔を覗かせて広がっていた。
気持ちのいい天気の中を出発。

出発してから数百メートル進むと
海辺に踊り場があり、
そこで車椅子に乗ったお爺さんがいた。

タバコでも吸ってから行こうと思い、
その踊り場に自転車を停めて海辺の低い階段に座り、
海を眺めながらタバコを吹かしていた。

太陽が肌に当たり
身体の奥底まで温かさが伝わってゆく。
冷たい風の中でも太陽の温かさが感じ取れた。

ぼーっとしていると、
車椅子のお爺さんがライターをカチカチと
何度も何度も押す音が聞こえた。

ライターが壊れているか、ガスが無くなったんだろう。
考える暇もなく、車椅子のお爺さんに向かって歩いていた。
ライター、使いますか?

おじいさんは、ビックリしながらも、
「おぉ、これはこれは。どうもありがとう。」
タバコに火を灯してからお爺さんは話しを続けた。

「ふぅ、ワシは見ての通りこんな身体じゃから
家が近くのここへ来るのがせめてもの日課でね。
ココへは色んな人が来るんだよ。」

ライターを貸した事がきっかけで
ここでの日常の話しを聞かせてくれた。

ここでは千葉辺りから来ていた何かの博士に出会ったり
色んな不思議な人や、旅人達と出会うそうだ。

じゃあ、僕もまたおじいさんにとっての
不思議な人の内の一人になるかもしれませんね。
今、僕は日本一周中なんです。
ほら、後ろに大きな自転車があるでしょ?
そう言って地面に寝かす様にしていた
大きなリアカー付きの自転車を見せた。

「ほぉー。これはまたまた…。すごいじゃないかぁ。
ライターの火がつかなかったからこそ、また君の様な人と出会えた。
本当に、縁って云うものは何時もどんな時も不思議だねぇ。
だって、もし私のライターの火がついていたら…?
いやぁ、ほんと。縁はどこからやって来るのかわからない。
キミに会えて良かったよ。」
そう言っておじいさんは手を差し伸べ
握手を求めてくれた。

お爺さんの手は、
シワだらけで分厚く、温かい柔らかさで、
長年を生き抜いてきた事を感じる感触だった。

こちらの方こそ。
そんな言葉が今までの一歩一歩を作って来た。
ありがとう、お爺さん。

再び出発しようとしたが、
もっとお爺さんを喜ばせて見ようと思い立った。

地べたに倒して置いてあった自転車を起こして股がり、
広場の真ん中に居たお爺さんの周りを一周して
先ほど、良く見えなかった自転車を見せて上げた。

「おぉ〜こんなにも大きかったのかい?
ほっほぉ〜。」そう言って喜んでいる顔が見えた。

「ではお爺さん!お元気で!!」

そのまま、前へ進む事にした。

人との別れ際にしか鳴らさないベルをまた、一度。
チーンと綺麗な音を響かせたのだった。

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ここからは、豊中市を目指し山間部が多くなる。

スクリーンショット 2015-01-20 12.55.06山を登っている最中に、
同じく自転車にキャリアカーを付けた自転車が追い越してきた。
荷物こそは沢山乗せていなく、軽そうだ。

乗っていたおじさんは少し並走して話しかけて来た。
急な坂道に、息を上げながら会話に応えていると
「もう少しで平坦な場所があるから、そこで少し話しでもしよう。」
そう言って追い越して行った。

数百メートル進むと、
おじさんが言った通り平坦な道があり、
そこでおじさんは待っていた。
IMG_4035自転車が昔から好きな様で
通勤として毎日この道を通っているらしい。

三木さんと名乗るおじさんは丁寧に、
これからの道程を教えてくれた。

この山を下った町の浜辺に良い公園があると
教えてもらい、そこまで一緒に向かう事になった。
山を下り、地元の人にしか分からない様な道を進み
海辺の広々とした香住海浜公園へ到着。

ここはおそらく鳥取の駅前で出会った
ようすけが泊まり、お勧めしてくれた場所だった。

「ほんの数日前にも、ここで若者が一人泊まっていたよ。」

え?もしかして…。おそらく僕もその子に会ってますよ。
それから、一人の親切なおじさんに出会ったと言っていました。
いやぁ、話しには聞いていましたよ三木さん!

「あぁそうだったのかい。
へぇ〜もう鳥取まで行っていたんだね。
それもまた面白いねぇ。」

そんな話しでまた盛り上がる。

時刻は、まだ夕方の3時頃だった。
まだ前へ進める時間帯で休むのも、
なんだかもったいない気がする。

もう少し前に進む事にして
三木さんにこの町で食材が買えるスーパーを教えて貰った。
わざわざそのスーパーまでも先導してくれる事になって、
またそこまで先導してくれ始めた。

スーパーまで付いて行き、
今夜泊まるなら、一山越えた辺りの浜辺に
トイレ付きの公園があると教えてくれてから
三木さんは家に帰って行った。

買い物を済ませてから、もう一山を越え、
三木さんに教えて貰った佐須海水浴場へ到着。

浜辺で買っておいた安物の発泡酒を持って来て、
今日一日のご褒美に飲んでいると…。

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街頭の少ない真っ暗な駐車場に一台の車がやって来た。
先ほどの三木さんだ。

三木さんは車から降りて来て
「ささやかながらだけどよかったら、これを。
一山分のエネルギーは採れるはずだよ。」
そう言って
わざわざどこかで買って来てくれた板チョコを持たせてくれた。
三木さんも自転車乗りなので、
良く気持ちを分かってくれている。

二人で浜辺に沿いの階段に腰掛け
お互いの自転車ストーリー話しを語り合い
静かな浜辺でひとしばらく過ごしたのだった。

三木さんが帰ってからご飯を作り食べていると
風が強くなり、雨が降り出して来た。

この海水浴場には屋根のあるベンチなどは無くて
トイレの建物しか見当たらない。
天気は荒れる一方で身動きすら取れない状況。

仕方なくトイレの入り口に移動して
そこで一晩過ごす事にした。


11月25日(199日目)

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昨日のいきなりの嵐に見舞われ、
ここのトイレの入り口が広かった事が不幸中の幸いだった。

入り口は海を背に向けてあり、激しい海風を防ぐ事が出来た。
昨晩、建物の陰から外へ出ると
身体が持って行かれそうな程の強い風が
海辺から不意荒れていた程の強風だったのだ。

テントを張る予定だった駐車場も、
水はけが悪く水溜りだらけになってしまっていた。
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雨は降り続き、この寒い時期の雨降りの中を
濡れながら走ることを想像すると
出発を躊躇わずにはいられなかった。

呆然と雨脚が収まるのを待っていると
トイレを利用しに来る人に話しかけられ何人かと会話をした。
その中の一人のおじさんには缶コーヒーを頂いたなんて事もあった。

ありがたく頂き、コーヒーを飲み
タバコを吹かしていると…。

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また、三木さんが現れた。

「昨日、雨でどうしたかなと思って心配になってね。
やっぱりここにしたんだね。」
相変わらず、爽やかでダンディーなおじさんだ。

これから豊岡まで行くつもりだと話すと
そこまでの道程を丁寧に詳しく教えてくれた。

電話番号も交換し、「もし分からない事があったり、
またここ辺りに来るのならいつでも連絡してよ。
もしかしたら用事で隣町へ行って往復するから
またすれ違いに会うかもしれないね。」
そう言って三木さんは隣町へと走って行った。

荷物をまとめて雨の日仕様に防水対策を済ませた。
サンダルのビンディングシューズは裸足で履いている。
うぉー、、冷てぇ。

さぁ、いざ出発。

霧の様な小雨の中だった、
辺りは田んぼだけが続く畑の平野が視界をゆっくりと動く。
少し、この雨に気持ち良ささえ感じた。

徐々に平野は上り坂になり、緩やかな山道に入った。
三木さんの話しでは、ここは緩やかな登りがひたすら続くだけで
難なく登れると聞いていた。

数十分同じペースでどんどんと進んでゆく。
やがて、対向車の一台がハイライトで数回パッシングしているのが見えた。
おそらく。三木さんだろう。

自転車を降りて停まってみると、
その車はすぐ近くに停車した。

やはり、三木さんだった。

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やっぱり会えましたね!

しかも、車が停まれる様なスペースがあるのは
この山道でこの場所だけらしい。

縁と云うのは本当に不思議な力を持っている。

最後に三木さんと力強い握手を交わし
再び前を向いて自転車を漕ぎ始めた。

おそらく、もう三木さんと会うのはここまでだろう。
昨日からの4度の再会はとてもいい出来事だった。

山を越え、登った分をまた下る。

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武藤さんプロレスだけじゃなくステーキ屋してるんだぁ
とか関心しながら坂を下り、豊岡市へと入った。

裸足で濡れた足は冷たくなり
ちょっとした痺れさえ感じはじめて来ている。

外で調理するのはこの天候の中では難しく、
コンビニに立ち寄てカップラーメンを買って
寒い中、温かい物を食べた。

すると、コンビニで出会った方に
温かい飲み物やコーヒーなどを
「頑張って!」の言葉と共に手渡してくれた。
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豊中の街を通り抜け、
冒険家で有名な植村直己が生まれ育ち
通っていた中学校などの横もたまたま通りがかった。

植村直己さんが出版した本は何冊も読んだ事があり、
人生をかけて極限の冒険に挑戦し続けた
偉大な旅人として、尊敬している。

偉大な冒険家がこの平凡な田舎で生まれ育った事を
想像しながら豊岡市を走った。

太陽も周りの囲まれた山に隠れ、それと共に気温も下がってきた。
空気は冷たくなり、濡れた衣服や足下を更に冷やし
凍える寒さに変わる。

動きが止まるとすぐに身体が冷えてくるので
寝床を見つけるまで動き続けなければならない。

あわよくば、こんな日のゴールには
あったかい温泉に入りたい所だ。

三木さんに教えて貰った道の駅に着いたのは、
辺りは真っ暗になってからの事だった。

雨は小雨が一日中降り続き、
地面は濡れてテントを張れる様なスペースなどない。
こんな冷えた身体でそのまま寝るのも苦痛だ。

地図で温泉を探し当て、
また10kmほど先の朝来市和田山辺りまで走る事にした。

冷たくなった身体を震わせ縮こまりながら
ひたむきに突き進んで温泉を目指した。

やっとの思いで、9時頃に温泉に到着。

冷えた身体を温め一日の疲れを癒した。
まだ、寝床の見当はついていない。
露天風呂に浸かっていると、おじさんに声をかけられた。

「君は、日本一周の人かい?」
駐車場に停めていた自転車を見たのだろう。

寝床もまだ決まっていなかったので、
地元だと言うおじさんに近くの公園を教えて貰った。
その公園には何やらモンゴルの移動式住居の
「包」(パオ)があるらしい。
その中で寝たら?と言われ一先ず向かってみる事に。

中央文化公園に到着。
広々とした公園に「包」(パオ)が展示されてあり、
その上を覆う様にとても大きな屋根があった。

パオの中は残念ながら鍵がかけられて入れなかった。
天候も不安定だし、今夜はその屋根の下でテントを張らず
ベンチで寝袋に入って寝る事にした。

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